2回目のミャンマーを訪れたのは、2015年12月のことである。
滞在期間は10日ほどであった。
当時はちょうど、アウンサンスーチー氏の選挙前というタイミングだった。
彼女が当選したら、ミャンマーが大きく変化すると耳にし、変わる前のミャンマーを歩いてみたくなって私は急いで航空券を手配した。
しかし、問題が発生した。当時は観光ビザが必須だったのだが、大使館へ申請に行く時間がどうしても作れなかったのである。
大使館は平日しか開いておらず、さらに運悪くミャンマーの祝日とも重なって休館してしまった。
ビザを取得できる日程が完全に限られてしまい、結局、日本国内で観光ビザを取得できないまま出発を迎えることになってしまった。
大使館に何度も電話をかけたが繋がらず、直接足を運んでも門前払いという有り様であった。
本当は避けたかったが、サービスがスタートして間もなかったアライバルビザを利用することにした。
アライバルビザとは文字通り、ミャンマーの空港に到着してから取得できるビザのことである。
米ドルでの支払いと写真などの必要書類さえ揃っていれば、その場で即時発給される。
日本で大使館を往復する電車代や労力を考えれば、スピーディーかつ安価で魅力的な制度のはずだった。
だが、心配性な私の脳裏には、悪い方向への想像力が働いて止まらなかった。
これまで何度か海外渡航の経験はあったが、いずれもビザ不要の国か、日本国内の大使館であらかじめ取得しているケースばかりであった。
外国の到着ロビーでビザを取得するなど、未経験の世界である。
「急にミャンマーの情勢が悪化して、アライバルビザが突然休止になったらどうしよう?」
「書類の不備で、ビザが取れなかったら?」
「空港にビザの担当者がおらず、何時間も待たされることになったら?」
入国拒否される様々なパターンが頭をよぎった。しかも当時はまだミャンマーへの渡航者が少なかったため、インターネットで情報収集をしても、実際の体験談はほとんど見つからなかった。
入国できるという確証が持てず、不安しか残らなかった。
日本出発の当日、私は不安をいっぱいに抱えたまま飛行機に乗り込んだ。
そんな中、隣の席になった日本人の男性は30代半ばほどで、小さな会社の社長をされている方だった。
仕事仲間の社長10人ほどで、ミャンマーへ視察に行くのだという。
当時、ミャンマーが外国人受け入れを本格化させたばかりだったこともあり、日本企業がこぞって進出していた時期であった。
その社長とあれこれ話しているうちに、徐々に不安が解けていくのを感じた。
「自分もきっと大丈夫ではないか」と不思議な自信が湧いてきたところで、飛行機はミャンマーへと到着した。
いよいよアライバルビザの取得である。
ネットの情報では「長蛇の列ができていて時間がかかった」といった体験談を読んでいたため身構えていたが、実際の現場は全く違っていた。多少の列はあったものの、意外なほどあっさりと観光ビザを取得することができたのである。
張り詰めていた緊張が安堵へと変わり、私は無事にミャンマーの一歩を踏み出した。
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