頭の中は梅毒一色。絶望のミャンマー女一人旅。

ミャンマー
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女一人でミャンマーに訪れたのは、約10年前のこと。

当時、仕事の関係で定期的に血液検査をしていた私は、渡航直前に自宅でできる簡易検査キットを試してから旅立った。

滞在先のヤンゴンで、軽い気持ちでネットの検査結果画面を開いた。「梅毒:陽性」ではないか!意味がわからずパニックになりながら、どんな病気なのかを調べていくうちに、血の気がひいていったのがわかった。どうやら、簡単には治すことができない病気らしい。

治療をしないとパートナーに感染させる可能性が極めて高く、完治させないと結婚・出産は諦めた方がいい。と、奈落の底に突き落とされた。しかも治っても既往歴は、ずっと付きまとい母子手帳の梅毒の項目に書かれることもあるという。一度感染すると、一生背負う十字架なのだと絶望した。

一人で抱えこんでいると不安で押しつぶされそうなので、ヤンゴンで日本人の医師がいる病院を調べて駆け込んだ。

 その病院ではすぐに結果がわかる血液検査がなくて、今できる応急処置としては高額なペニシリンを注射することだという。

その注射は、お尻に筋肉注射をするのだけど、かなりの極太針で激痛なんだとか。先生には、先日注射を打った大柄な欧米人が男泣するほどだったと、脅された。

楽しい旅先で激痛を味わいたくないし、貧乏一人旅でお金もないし、そもそもちゃんと検査もしていないのに注射を打つなんてごめんだ。東京に帰ったら改めて病院で再検査をして、治療しようと心に決めて帰ることにした。お会計は、一万円程で、なかなか痛い出費だった。

その後約10日間ミャンマーを一人で旅していたのだけど、どんなに素敵な景色を見ても、どんなに面白い出会いがあっても、頭の片隅にはいつも「梅毒」がいた。これで人生最後の旅になるかもしれない。そのうち皮膚が発疹だらけになって、病気の進行にショックを受けるのだろう。親には、どうやって状況を説明しよう。そんなことばかり考えていた。

帰国して、すぐに病院で血液検査を受けた結果は、「梅毒:陰性」。簡易キットで疑陽性が出ていたことが判明して、心底安心した。簡易キットで、こんなことってあるなんて…あの時、ミャンマーで痛いペニシリン注射を打たなくて本当に本当によかった。

でも、私の人生って、なぜいつもこうなんだろう?

 

 

 

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