37週目妊婦健診の記録
前回の健診から5日。今回の数値は以下の通りである。
子宮底長:34cm(±0)
腹囲:106cm(+5)
体重:79.8kg(-0.4)
血圧:122/81
足のむくみ・尿蛋白・尿糖:すべてなし
赤ちゃんの位置:頭位
推定胎児体重:2,932g
お会計:4,430円
備考:NST(ノンストレステスト)はなし
今日は、待ちに待った日であった。切迫早産による、長かった自宅安静生活の「解除許可」がもらえる運命の日。
約1ヶ月半に及んだ寝たきり生活を振り返ると、それはひたすら孤独との戦いだった。特に前半の1月は、精神的にもひどくしんどかった。
窓の外を流れる社会の営みから、自分だけがぽつんと取り残されてしまったかのような一人ぼっちの感覚。 ある日、玄関に出て、私の靴をすべて下駄箱の奥へと仕舞い込んだ。その瞬間、どっと涙が溢れて止まらなくなったのを覚えている。
「靴がない」という光景は、もうしばらく外の世界へ出られないのだという現実を、あまりにも残酷に可視化していた。私がこうして家から一歩も出ず、誰にも会わずに消えていようとも、世界の誰も困らない。その事実が、当時の私にはどうしようもなく辛かった。
けれど、私は入院という最悪の事態を免れ、終わりが見えなかった期限付きの自宅安静を、こうして無事に完走することができたのだ。
院長の内診を終え、私ははやる気持ちを抑えきれずに尋ねた。 「先生、もう本当に、自宅安静は解除でいいんですよね?」
院長はあっさりと頷き、そして少し悪戯っぽく、こう付け加えた。 「もう大丈夫。だけどね、これなら一週間以内に生まれるかもしれないよ」
胸がドキンと跳ねた。やはり、予定日よりもかなり早めの出産になる可能性があるらしい。
正直なところ、私にはまだ「母親になる」という確固たる覚悟などない。子どもがいる自分の将来なんて、どれだけ頭をひねっても全く想像がつかないのだ。 けれど、もうすぐ始まるであろう、目が回るほど忙しい育児の渦に呑み込まれてしまう前に。今はただ、大好きな友達に会って、他愛のない話で笑い合いたい。私の心は今、未知の未来への怯えと、ささやかな希望の間で揺れている。
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